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ゴールドにまつわる話は続く。1865年、アブラハム・ソーンという名の軍医がフェニックスに近いフォート・マクドウェルに来た。イリノイ出身の彼は、アリゾナで生活をするや否や、アリゾナの地に惚れ込んでしまった。
兵士などの治療をしていた彼は、ふと、インディアンの人達にも医療の手を差し伸べようと思い立った。一からインディアンの言葉を学び、インディンの社会に溶け込もうと一生懸命だった。当然のことながら、この青年医師は、インディアンの人々から信頼され、「兄弟」とまで呼ばれるほどに親しい関係ができた。
ある日、インディアンの酋長、コチーズがソーン医師に会いに来た。コチーズ言わく、妊娠している彼の妻が病気で大変なので往診してほしいと頼んだ。早速、ソーンがコチーズの家を訪れて診断し、彼女は健康を取り戻した。もちろん酋長は泣いて喜び、この恩は絶対に忘れないと医者に誓ったのだ。
その後、ソーン医師はニューメキシコへの転勤の命が下った。そのことを知ったコチーズは、他の酋長のジェロニモやインディアンのリーダー達と一緒にソーンの歓送会を持った。その歓送会の席でソーンがインディアンの酋長達の前に来ると、彼等はソーンに向かって、これまでの感謝を込めて何か贈り物をしたいのだが、と申し出た。もしソーンがもう一日待てるなら、ソーンを案内して金塊が採れる場所まで連れて行きたいと言うのだ。
もちろんこれに快諾したソーンは、目隠しをされて、長く曲がりくねった道を通った。そして、ある地点に着くと、目隠しがはずされた。ソーンの眼前にあったのは小さな峡谷だった。そして、インディアンが「ここへ!」と手を振って招かれるまま歩いていくと、なんと、そこに今まで見たこともないような大きな金塊が横たわっているではないか。ソーンは、震える手でこの金塊をにぎると、再び目隠しをされた。さあ、帰る時間だ。
ソーンは、一体自分がどこに行ったのか見当がつかなかった。しかし途中、休憩し、水を飲むために目隠しがはずされた。「はてな?」そこで彼が見た風景は、見覚えがあった。以前来た事があるスーパースティション・マウンテンのキャニオンだったのだ。
転勤先のニューメキシコに引っ越す直前に、彼は一時休暇を取って、サンフランシスコに住んでいた彼の家族を訪れた。彼はサンフランシスコに着くと、早速アリゾナから持って来た金塊を現金に替えたのだ。その大金を持って家族のもとに戻った彼は、これまで家族がかかえていた全ての借金を返済した。しかも、彼の二人の兄弟に多額のキャッシュを与えている。しかし、どうしてこのような大金を掴んだのかと聞かれると、ソーンはあいまいな返事をくり返し、誰にも詳細を語ることがなかった。
その後何年も年を重ねたある日、彼はついにアリゾナでの金の話を家族に打ち明けたのだ。言うまでもなく、スーパースティション・マウンテンの伝説はさらにうわさの風に乗って人々の間に広がっていった。
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