アリゾナの北部とニューメキシコとの州境は、白亜紀(1億3500万年〜7000万年前)の末期に地殻変動が起き、幅50マイル、長さ100マイルの岩が盛り上がり始め、西側は緩やかな傾斜で東側は急傾斜を作った。そして現在のキャニオン・デ・シェイのすぐ北側のチャスカ山脈から緩やかな西側の傾斜をつたって川が流れ始める。この川が大地を少しづつ削り続け、両岸を垂直の壁のような格好にする。これが現在のこのキャニオンの形だ。しかも、今でも、この川は少しづつ大地を削り続けているのだ。
また、岸壁の表面がニスを塗ったようにテカテカしている。まるで雨が降った直後のような表面だが、これも、何千年という長い期間を費やして自然が作った芸術作品なのだ。まず、雨水が岸壁に当たり、岩の中の金属成分が酸化する。この酸化物がまた雨水で岩の表面に押し出される。その溶液が岩の表面で固まる。こうした現象は「砂漠のニス」と呼ばれる。青や黒の色をした表面は、マンガンの酸化で、赤色は鉄分の酸化によるものだ。
そして、この表面には風で吹き上げられた砂が間断なくぶつかり、その砂の接触によって、さらに表面が磨かれていく。こうして磨かれた岸壁の表面は、太陽光線を反射したり吸収したりして、見事な芸術美を見せてくれるのだ。 |
キャニオン・デ・シェイには、古代先住民の遺跡が各所に見られる。現在は、ナバホ族が生活をしているが、紀元前からアナサジと呼ばれる先住民がここに定住していた。もともと彼等の先祖は1万2千年程前、氷河期にベーリング海峡を渡ってアジアから移住してきた、というのが定説だ。その内、アナサジ族は北米の南西部に定住した。アナサジとは、ナバホ語で「古代人」という意味。彼等の生活は遺跡の発掘によって推測されているのみだが、スペイン人が入り込んできた時に、多くの遺跡が破壊されてしまった。このアナサジ族が1300年頃、突然この地から姿を消す。明確ではないが、大早魃が原因だったのではないかと思われている。

上:ホワイト・ハウス遺跡 |