2003年 5月号 特集

 
砂漠植物園を歩く

Deset Botanical Garden

砂漠植物園(Desert Botanical Garden)は、アメリカ南西部やメキシコの砂漠に生息する2万種類もの植物をそなえ、砂漠の生態系の保護や市民への教育に力を入れてきた。

私たちの住むソノラ砂漠の自然の力を知る良い機会を与えてくれている。毎日多くの市民が家族を連れ、またカメラを抱えてこの植物園を訪れる。

今日はこの砂漠植物園を歩いて、ソノラ砂漠の調和の美を学んでみよう。


場所

砂漠植物園は、パパゴ公園の中にあり、フェニックス動物園やハイキングコース、ピクニック場が設けられている。

住所:1201 N. Galvin Parkway, Phoenix, AZ 85008
電話:(480) 941-1225
www.dbg.org

開園時間

10月〜4月:午前8時?午後8時
5月〜9月:午前7時?午後8時
クリスマス(12月25日)と独立記念日(7月4日)を除く毎日開園。
*12月5、6、7、24、31日は午後4時で閉園

入園料

大人$7.50、学生(13才〜18才) $4.00、
子供(3才〜12才)、$3.50、2才以下は無料。



トレイル

園内には5つのトレイルがあり、それぞれ異なった小道を歩きながら、自然を楽しめるようになっている。

◇デザート・ディスカバリー・トレイル
(Desert Discovery Trail)
レンガでできた小道。植物園の中心を回る。世界中の砂漠の植物を集めてある。

◇ソノラ砂漠の植物と人々のトレイル
(Plants and People of the Sonoran Desert Trail)
古代の昔から砂漠に住んだ人々が食用にした植物などを見ることができる。

◇ソノラ砂漠自然トレイル
(Sonoran Desert Nature Trail)
丘を上りながらソノラ砂漠の植物を見る。

◇砂漠生活センター・トレイル
(Center for Desert Living Trai)
砂漠の自然と調和して生活するためのアイデアを提供。

◇ハレエット K マックスウェル砂漠野草トレイル
(Harriet K. Maxwell Desert Wildfower Trail)
ハミングバードや蝶などがやってくる野草の花々を見ながら、歩くトレイル。



ソノラ砂漠の調和


厳しい太陽光線と乾燥した空気。昼夜の激しい温暖の差。こうした砂漠独特の環境の中を賢く、また逞しく生きている数々の動植物。何千年の間に培われてきた彼等のサバイバルの知恵は、私達人間の知識を遥かに超えて、見事な調和を作り上げてきた。

ナース・プラント(Nurse Plant)とサワロ (Saguaro)

サワロは、ソノラ砂漠独特の大形サボテン。このサボテンのに穴を作って住み込む鳥や動物がいる。まさに、サワロは砂漠のホテルだ。

このサワロも成長するまで周囲から守られている。

まず、サワロの花に昆虫が引き寄せられ、授粉に大きな役を果たす。そして、実が成り種となる。種は、鳥やリス、ネズミ、コヨーテなどの動物にとって大事な食べ物だ。

この種を食べた鳥は、大きなパロバーデの木の枝に止まる。そして、排泄すると、種がそのまま大地に落ちる。大地に落ちた種は木の下なので、直射日光から守られる。やがれ、芽を出す。小さなサワロはこのパロベルデの木に守られて、成長する。このパロバーデをナース・プラントと呼び、まるで親が小さな子を守るような働きをする。

大きくなるにつれてサワロは、パロバーデの木の根からしっかりと水分を吸収する。パロバルデが落とす葉などが大地の肥やしともなり、サワロにとっても大きな助けとなる。

かなりの大きさにまで成長すると、サワロはパロバーデの根から水分を十分吸収し、いづれパロバーデは、死んでしまう。

大きな木となったサワロは、その体を鳥や動物の住居に提供する。




チョヤ
チョヤ (Cholla) の世渡り

チョヤは、ハリネズミのように鋭いとげが無数に突起している。これでは、鳥や動物が簡単に食べるわけにはいかない。しかも、チョヤの木の表面はワックスを厚く塗ったようになっており、太陽光線や強い風から身を守るようになっている。チョヤの一種、テディー・ベア・チョヤは、まるで熊のぬいぐるみのように可愛い格好をした枝がいくつも出ている。この枝が時にして地面にそのまま落ちる。落ちた枝はしばらくするとそのまま地に根を張り、繁殖するようになっている。

しかも、この枝は、近くを歩く動物の体に突き刺さり、動物のと一緒に遠方に行って、最終的には地面に落ちて繁殖する。動けない植物が広範囲に繁殖するための自然の知恵だ。チョヤにつかまった動物は毛皮が厚いが、人間の肌に突き刺さると厄介だ。細かい鋭利な刺は中々抜くことができないからだ。テディー・ベア・チョヤには近付かないことだ。



メスキート(Mesquite) の
サバイバル

メスキートは、マメ科植物で、古くから先住民の大切な食料となっていた。春には、黄色の花を咲かせ蜂やこうもり、その他の昆虫がやって来る。メスキートのマメは、多量の糖分を含んでおり、人間だけでなく、コヨーテや野ウサギの食料を提供してきた。動物の口に入ったマメは、胃の中で甘い果肉だけが消化され、固い種はそのまま糞と一緒に地面に落ちる。こうして、メスキートは繁殖することができる。

また、メスキートの根は、地下に多量のバクテリアを発生させ、このバクテリアが空気から窒素を作る。この窒素はメスキートの成長に欠かせない。

メスキートは葉や果肉を次々と地面に落とす。落ちた葉や果肉は土壌を肥やす役目を果たす。その上、地面の気温が低くなり、湿気を保つことにも役立っている。従って、メスキーの周りには他の植物も繁殖できるようになる。


オコチヨ

オコチヨ (Ocotillo) の
生存闘争

オコチヨは、長い枝が地面から幾つも生え、鮮やかなオレンジ色の花を春に咲かせる。この花の蜜を目指して、ハチドリが来る。ハチドリはオコチヨの授粉を助ける。

その後、羽を付けた無数の種が夏の風に乗って空を舞う。こうして、ソノラ砂漠一帯に種をまき散らす。種が実際に芽を出す確率は1万分の1。多くは野ウサギやねずみの食べ物となる。従って、種は出来るだけ多く作らなければならない。

オコチヨの枝は底から切ると、また根を出して生き残る。



したたかなパロバーデ (Palo Verde)

パロバーデとはスペイン語で「緑の棒」の意。緑の幹と小さな葉。そして春には見事な程の黄色の花を咲かせる。

この花の蜜を求めて、蜜蜂や蜘蛛がやって来る。そして授粉。無数の種が地に落ち、多くは、ねずみや昆虫のえさとなる。

パロバーデは、長い乾燥した時期を生き抜き、雨を待つ。十分な量の雨が降ると、パロバーデは、多量の小さな葉を生む。そして、旱魃が再び襲うと、この葉を地上に落とす。こうして地面の湿気を保つのだ。さらに厳しい旱魃が続くと、パロバーデは、緑の小枝も地面に落とす。そして、旱魃がさらに続くと、全ての小枝を落として、地中の湿気を乾燥させないように闘うのだ。

葉や小枝を落としてしまっても幹で光合成ができるようなっている。こうして木全体が緑色なのだ。  パロバーデは、前述のように若いサワロの成長を助ける役を果たしている。



共生の砂漠共同体

以上は、ほんの数例で、アリゾナの砂漠を生きるあらゆる生命は、生態系の調和のシステムを破壊することなく、賢くそしてたくましく共生の道を歩んでいる。

人間の私達は、はたして共生の道を行くのか、破壊の道を行くのか。  砂漠植物園から学ぶものは大きい。





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