2003年 1月号 特集

 
巨大な穴の秘密、メテオ・クレーター

The
Meteor Crator

月のあばた面は、隕石の衝突によってできたクレーターが作ったものだが、アリゾナにも巨大なクレーターがある。一時は、NASAが大きな関心を寄せ、アポロ計画の航空士訓練の場ともなった。メテオ(Meteor)とは隕石のことで、「ミーティア」の発音の方が近い。今月はこの巨大?ネ穴、メテオ・クレーターまで足を伸ばしてみよう。

 

クレーターの発見

1871年、ある白人から大きなクレーターの発見が報告された。その時、このクレーターは、たぶん噴火の跡だろうと考えられた。1890年にクレーターを取り巻く平地から鉄とニッケルの固まりが発見された。こうして調査が始まり、最終的に、このクレーターは、火山ではなく、巨大な隕石が落ちてできたものではないかという推論ができた。しかし、当時の一流の名をはせた地質学者、G.K.ギルバートは、1891年に短期間の調査の後、その推論をしりぞけてしまった。

 

バリンジャーの貢献

1902年、フィラデルフィアの鉱山エンジニアであったダニエル・バリンジャーは、このクレータが大きな金属物の衝突によってできたものであると確信し、まだ金属物の大部分が地下に埋まっているに違いないと思った。

彼は早速、この土地を購入。そしてクレーターの地下を調査する会社を創設した。今でもクレーターの底に見える掘削機は彼の物だ。25年を費やした科学的調査は、膨大なエネルギーを使い果たしたが、結果的には大きな失望で終わった。

クレーターは、お碗のような格好をしているので、当初、クレーターの底の真下に目的の金属があると思われていた。そこで真下を発掘していくのだが、見つかるものはココニノ砂岩の土砂のみで、大きな金属は出てこなかった。

その後、バリンジャーは、面白いことを発見する。ライフルを泥の地表に向かって撃つと、どの角度からでも弾の当たった表面はお碗のように丸くなるということだった。こうして、再度クレーターを見てみると、南東側の縁が少々高くなっていることに気付いた。

その結果、隕石は、真上から落ちてきたのではなく、北の上空から落ちてきて、南東側に追突したという結論が出た。こうして、クレーターの南東側の採掘が始まった。ドリルで掘りはじめると少しづつ金属の破片が出てきた。ところが、1376フィートまで掘り続けると、ドリルよりはるかに堅い物に到達。機具は破損し、その上、資金が枯渇した。こうして1929年、バリンジャーはこの事業を断念したのだ。しかしながら、多くの科学者は、バリンジャーの唱えたクレーター出現の因を認めるに至った。同年、バリンジャーはこの世を去る。彼の功績を称えて、このクレーターをバリンジャー・クレーターと呼ぶことになった。このクレーターは、今もバリンジャー家が所有し、1968年に連邦政府は、この地を自然の陸標に指定した。

 

隕石の存在

メテオ・クレーターの底にある隕石を探ろうという試みは、バリンジャーの死後も何回か行われた。しかし、当の物体の硬度は人間の想像をはるかに上回っていた。

近年に入り、かつての掘削機で掘るような方式に替わり、電気と音の波長でその大きさを測るという方法が採用された。この近代的な調査によって隕石の詳細が明確となった。

その正体は、「隕石の80%は、衝突の時点で熱によって気化してしまった。5%は、爆発して周辺に塵と?ネって落ちた。10%は、クレーターの南の縁の下に残っている。そして残りの5%は、衝突前に地球の大気との摩擦で消滅した。」ということがわかったのだ。

 

隕石の正体

ユージン・シューメーカー博士。彼は、アメリカ地質学研究会の天文地質学部門で活躍した科学者で、メテオ・クレーターの研究発表をした。彼の計算では、クレーターを作った隕石は、直径が80?100フィート。時速43,000マイルの高速で地球に衝突した。

調査が進むにつれ、隕石の中にある新たな鉱物が確認された。これは、地球上では実験室以外に見ることのできない、極めて高圧で圧縮されたシリコンの化合物であることがわかった。この流星は気が遠くなるような長い時間、宇宙をさまよい、ついに地球の引力に引っ張られて衝突したものだろう。

 
月面そっくりのクレーター

メテオ・クレーターは、地球上で最もよく保存された最大のクレーターで、月の表面にあるクレーターに類似している。このことから、当時月の調査をしていたNASA(米航空宇宙局)が目をつけ、アポロ計画で使うことになった。アポロに乗り込んだ宇宙飛行士は全員、このメテオ・クレーターで様々な訓練を受けている。彼等が学んだものは、クレーター地質学、クレーター力学、流星研究などで、訓練とともに包括的な月の調査に新たなドアを開けたのだ。

クレーターの大きさ

メテオ・クレーターは、直径 0.75マイル(1.2キロメートル)。深さは650フィート(200メートル)で、周囲は3マイル(5キロメートル)。アメリカン・フットボールの競技が20試合も同時に行うことができる広さで、壁に観客席を作れば、200万人も収容可能だ。

 

メテオ・クレーターの存在意義

地球には、これまでにも何回も隕石の落下があり、クレーターが各所にあるはずだ。しかし、メテオ・クレーターのユニークな点は、クレーターがそのままの形で残っていることだ。地球は月と違い、生きている。クレーターが出来ても、長時間における地殻変動や風/雨による侵食活動によって、クレーターの形がどんどんなくなってしまうのだ。

ところが、メテオ・クレーターは、そうした影響をほとんど受けず、5万年の間、形を保ち続けてきたのだ。これは、乾燥した砂漠の気候と少ない地殻変動が良い条件となったに違いない。

まさに、メテオ・クレーターは、ただの穴ではなく、天文学、地質学上の貴重な宝などだ。

 

ビジター・センター

1999年8月に改築されたビジター・センターには、天文学関係の情報が溢れている。80席のワイド・スクリーン・シアターには、隕石の衝突を説明する映画が上映されている。また、アポロ・カプセルの展示も大変興味深い。

ビジター・センターの裏手に出ると、メテオ・クレーターを見学できる場所が4ケ所設けられており、望遠鏡を使って一望できる。また、ガイド付きのツアーがあり、実際にクレーターを歩きながら、5万年前を想像してみたら良い。

 

行き方

フラッグスタッフまで I-17で北上。フラッグスタッフからI-40を使って東へ。35マイルほど走り、標識に従いExit 233を出る。そのまま一本道を南下すると、目的のメテオ・クレーターに到着。 ルと鉄で構成されていて強かったからだ。

最近でも極めて巨大な小惑星が地球の近くを走っている。それはタバコのような形をしたもので、大きさは縦3.2マイル(5キロメートル)、横1.2マイル(2キロメートル)。1969年と1994年に地球に大接近した。それほど遠くない将来に地球と衝突する可能性があるとも言われている。もし、衝突すれば、地球規模の氷河期が訪れるであろうと科学者は予測する。

さらに、科学者のデータによれば、衝突すれば、その影響は、地上衝突より海上衝突の方が深刻な被害を及ぼす。巨大な流星が海に衝突すると、想像を絶する津波が起こり、たぶん地球上の海岸付近の都市は完全に波に飲まれて破壊されるだろうという。

 
小惑星のニアミス

地球の周りには、千個以上の流星や小惑星が軌道を作って回っている。幸いにも地球に衝突することなく、ニアミスで終わっているが、地球の大気圏内に入ってくれば、想像を絶する被害が生まれるだろう。

これまで分かっている最近のニアミスは下記の通り。
・1972年にアメリカ空軍のサテライトにより、1000トンの小惑星が地球の大気圏すれすれに飛んでいるのを発見。
・ 同年、4つの小惑星が月よりも近い距離にまで接近。
・ 1994年、直径2.5マイルの小惑星が地球に大接近。4時間の差で衝突を避ける。
・ 1993年、8億5千万ドルも費やした通信衛星が流星の一群によって破壊される。

 

火球の落下

近年の火球落下で最大のものは、シベリアのツングースカに落ちた直径70メートル級の隕石。時は1908年6月30日。衝突直前に空中で爆発し、広範囲の森林に被害を与えたもの。従って、クレーターは存在しない。

1992年10月9日。ケンタッキーからニューヨークの上空を火の玉が走っていくのが発見された。その火球から27ポンドのごつごつした隕石がニューヨーク州ピークスキルに落下し、車道に駐車してあった車の後尾に追突。

 

シューメイカー・レビ彗星

1994年、直径数キロメートルの巨大彗星が木星に衝突した。彗星は少なくとも21個の分裂核に砕けて、地表に広がった。地球から望遠鏡でこの衝突でできたクレーターをしっかり見ることができる。 衝突から地球を守るために世界の多くの専門家達が知恵を絞り、地球を守るプロジェクトを作り上げている。 下記がいくつかのプラン。

・地球に接近し、衝突の可能性がある大形の流星/小惑星の表面に複数の強力ロケットを設置し、そのロケットを噴射することによって、地球から遠ざける。
・物体の表面に大形駆動輪を設置し、地球から遠ざける。
・物体の近くで核兵器を爆発させ、地球から遠ざける。

 

今後の可能性は?

では、実際に将来の衝突の可能性はどれ程高いのだろうか。専門家の計算では、巨大な隕石が地球に衝突して大きなリスクを生む可能性は、100万年に数回とされている。全く安全とは言えないのは当然だが、過去1000年の間に隕石落下で死亡した人間は一人もいないのが事実だ。

NASAの観測によると、このままでは地球に衝突する小惑星あるいは彗星はひとつも発見されていない。少なくとも、この先数百年は、大規模な衝突の可能性がないとしている。

 
大気圏、地球が作った巨大な膜

地球の進化に伴ってできた大気圏。酸素や窒素、二酸化炭素で構成されている。この大気圏によって、太陽が発散する有害な紫外線を除いたり、次から次へと大気圏外から飛び込んでくる流星などを摩擦で消滅させる役割をしている。

化が大きな問題となっている。私達にとってかけがいのないこの地球をしっかり守っていくことが、私達を守ることになるのだ。

こうして私達が常に守られた存在であることを思い出す良いチャンスをメテオ・クレーターが与えてくれている。





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